糖尿病と食事療法~「食べ方」と「食べる量」のふたつに目配り


患者数が働きざかりの40代の1割に達するとされる「糖尿病」。発症後は完治できないため、一生のつきあいを覚悟せねばなりません。

厚生労働省の直近の国民健康・栄養調査(2016年現在)によると、この日本で「糖尿病が強く疑われる」人数は1,000万人に達しました。

その中で治療を受けている人は全体の76.6%、つまり糖尿病予備軍・患者の4~5人に1人は現状を放置したままという状況です。


糖尿病という病気でいちばん恐ろしいのは、状態を放置すると症状が進行し、眼・腎臓・神経などにさまざまな「合併症」が引き起こされることにあります。

(なお、糖尿病の概要については、関連サイト「糖尿病 3分で知る症状・治療・予防」をご覧ください。)


糖尿病においては、血液中の糖分(血糖)が異常に高い状態(高血糖)が続きます。高血糖は、インスリン(膵臓[すいぞう]から分泌される、血糖値をコントロールするホルモン)の働きが低下して起こります。


インスリンは、食事から吸収した糖分を体内で有効活用できるように調節したり、余った糖分を肝臓や脂肪細胞に蓄えさせエネルギーの不足時に備えたりする、人体にとって非常に重要な働きをするホルモンです。


食事を摂ると、血液中の血糖値が上昇します。すると膵臓から、インスリンが大量に追加分泌されます。

このときインスリンは、2つの作用をみせます。一つは、筋肉・細胞の「受容体」が、糖分を取り込んで利用できるようにする作用。もう一つは血糖値が上がりすぎないよう、肝臓からの糖の放出を抑えにかかる作用です。


しかし肥満や過食・運動不足によって「受容体」の働きが鈍ると、せっかくインスリンを出しても、糖分の適切な利用が難しくなってきます。

それでも膵臓はインスリンを出そうと頑張って働き続けるのですが、症状が進むと最終的に、うまくインスリンを出せなくなってしまいます。


そうなるとあふれた糖分は最終的に細胞内に流れ込み、臓器や神経組織を傷つけ破壊して、生命すら脅かす合併症を引き起こすことになります。破壊された膵臓の機能も、二度と元に戻ることはありません。


インスリンを効率的に働かせるには、「受容体」の働きをよくする必要があります。それには肥満・運動不足の解消が効果的です。


糖尿病 食事


糖尿病の食事」の目的は、過食やまとめ食いを控え、受容体の働きをよくすることによって、インスリンが効率的に使われるようにすることにあります。


インスリンの働きにみあった量の食事をとると糖分を十分に利用でき、高血糖の防止につながります。ひいては、膵臓に余分な負担をかけずにすむわけです。


現在糖尿病の治療中で薬を服用している方であっても、食事療法は必要になります。

糖尿病のほとんどを占める2型糖尿病の場合、血糖値のコントロールを薬だけで行うことは困難です。逆に言えば、適切な食事や運動によって、投薬の効果を高めることができるのです。


最初に結論を言っておくと、糖尿病の食事において「これを食べてはいけない」という食事・食材はありません

もちろん、世に健康に害を及ぼす食事・食材がたくさんあることも事実ですが、それらは「糖尿病(予備軍)だから」食べてはいけない、ということではないのです。


同様に健康食品・サプリメントを含め、「これを食べたら糖尿病が治る」といった食材・食品も現時点では存在しません

糖尿病を対象にしたトクホ(特定保健用食品)なども、あくまで「一次予防の手段として期待できる」もので、治療に取って代わるものではないのです。


糖尿病の食事で問題になるのは、あくまで「(食後血糖値の変動に関わる)食事の量」と「栄養のバランス」、そして「食べるタイミング・食べ方」です。

これらを運動・薬物治療と組み合わせ、血糖値を問題のない範囲にコントロールしていくのが「糖尿病の治療」になるわけです。

つまり「食べてはいけない」でなく、「量を控えるべき」そして「今は控えるべき」という問題なのです。


糖尿病食


それでは、順を追ってご説明します。

糖尿病の食事療法のポイントは、その「食べ方」と「食べる量」にあります。

まず「食べ方」ですが、「一日3食をきちんと取る」ようにします。


朝食や昼食を抜いたり、あるいはまとめ食いをしたりすると、一度にたくさんのインスリンが必要になるため、膵臓に負担がかかります。

また空腹状態で食事をすると、体が次の空腹状態に備えて栄養を蓄えようとするため、どうしても皮下脂肪が溜まりやすくなってきます。


(余談ですが世界では、中東のイスラム教国家に糖尿病患者が多く存在します。イスラム教のラマダン(断食)の影響があると言われ、断食の反動で夜眠る前の「どか食い」をする人が多く、これが膵臓を疲れさせてしまうからです。)


食事のスピードは「意識してゆっくりめに、よく噛んで食べる」ようにします。「満腹感」は、血液中の糖分が増えたことを脳が感知して起きるものです。


食事によって血糖値が上昇し、脳の視床下部にある満腹中枢がそれを感知するまで20分程度かかるとされます。

早食いをすると、血液中の糖分が増えるより先に胃に食べ物が送り込まれてしまいますので、満腹感を感じる前にどうしても食べ過ぎてしまいます。これが肥満につながるわけです。


食べ方という点では、「食べる順番」もぜひ意識しておきたいものです。さまざまな食品を味わう満足感を得つつ、同時に食事によって血糖値が急激に上がることを避けなくてはなりません。


食後は誰でも血糖値が上昇しますが、健康な人なら通常2~3時間で、食前の血糖に戻ります。これに対し、糖尿病予備群や糖尿病患者で食後に血糖値が戻らず、140mg/dl以上の高い血糖値が続く状態が「食後高血糖」です。

食後高血糖が続くと動脈硬化が促され、最終的に脳疾患・心疾患等の発症リスクが高まります。


これまでのいくつかの研究により、健康であっても糖尿病(予備群)であっても「野菜を炭水化物よりも先に食べる」方が、食後の血糖値上昇が抑えられることがわかっています。そのため、サラダや海藻類・きのこなど「食物繊維」を多く含む血糖値の上がりにくい食品から、まず先に食べるようにします。

海藻類・野菜・こんにゃく等に含まれる「水溶性食物繊維」は胃で膨らむため、胃内での食べ物の滞留時間を伸ばし、食欲を抑えるはたらきがあります。


また食物繊維には、腸の粘膜上で短鎖脂肪酸を産生し、特定のホルモン分泌を促して脳に空腹感を抑えるメッセージを送り、食後高血糖を防ぐ作用があります。食物繊維を多く摂取する人はそうでない人に比べて体重が増えにくく、また糖尿病の発症率も3割程度低いことが、米国の研究で明らかになっています。

空腹感をある程度解消した後に肉や魚などのたんぱく質を摂り、血糖値を上げやすいパンやごはんなどの炭水化物は一番最後に摂る食順がよいでしょう。


ちなみに最近、魚や肉を「米飯の前に」食べることで、胃の動きを緩やかにするホルモン「インクレチン」が多く分泌され、結果的に血糖値の上昇が抑えられるという研究論文も発表されています。

【PDF】糖尿病の治療や予防にいかせる「食べる順番」の科学的根拠を明確化(関西電力医学研究所)


結論としては、「野菜」→「魚または肉」→「ご飯・パン」の順番で食べるということですね。


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食事量の調整法~エネルギー比・糖質量の計算になじむ


糖尿病 食事療法


次に、「食べる量」に関わるポイントです。


最近は、ご飯やパンなどの主食を遠ざけて、副食(おかず)をとりすぎる人が多く見られますが、糖尿病の食事療法においては栄養摂取の全体的バランスを鑑み、主食も適量をとるようにします。

主食を減らすことで、おかずをつい食べすぎたり、あるいは間食が増えたりしがちです。基本的に副食(おかず)は「一食一皿」、しかも種類を毎回変えるようにして下さい。


糖尿病は肥満との相関性が非常に強いので、食事では「炭水化物(糖質)を摂り過ぎない」ことと「食べ過ぎない(太らない)」ことの2点を、絶えず意識する必要があります。

米国の研究でも、食事内容の改善をはかりつつ適度な運動を生活に取り入れて体重を7%減らすだけで、糖尿病になるリスクが6割も減ることが明らかになっています。



最近では、肥満の原因は脂肪よりもむしろ「炭水化物の過剰摂取」にあるとの認識が強まってきています。


しかしご飯やパン類などの炭水化物の摂取を極端に制限する「糖質制限食」は、短期的な成果は出やすいものの、長い目で見ると食事療法としては続きにくい、との声もあります。

日本糖尿病学会も2013年3月に「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」との提言を発表しています。


日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 ~糖尿病における食事療法の現状と課題~(日本糖尿病学会)


糖質制限については、世界各国における見解も未だまちまちの状況ですが、問題は「身体の健康を安全に維持できる、最低限の糖質量」および「糖質制限の結果、相対的に摂取量が増える脂肪・たんぱく質が身体に及ぼす影響がはっきりしていない点にあります。

糖質制限は日本人を対象とした臨床試験もほとんど行われておらず、エビデンスも十分に積み上がっていません。論者によって主張も異なっており、統一的なガイドラインすらできていません。


脂肪をたくさん摂取すると腹持ちがよく空腹感が少ないため、短期的に体重が減少してダイエット効果を感じやすいというメリットはあるものの、その分リバウンドしやすいとの報告もあります。

また脂肪・たんぱく質の摂取量が大きく増えるため、脂質異常症や腎障害など糖尿病以外の病気の発症リスクが高まる点にも、注意すべきでしょう。


海外では長期的に死亡率が上昇するとの報告もあり、いまだリスクが払拭されていない状況です。少なくとも「自己流で糖質量を極端に制限した食事」を続けることだけは、絶対に避けるべきです。


さて、1日のエネルギーの摂取比率にかかる3大栄養素のバランスは「糖質:たんぱく質:脂肪=50~60%:20%:20~30%」程度がよいとされていることを、覚えておきましょう。


この後でご説明する「食品交換表」にもとづく糖尿病の食事療法は、脂質やたんぱく質等も含めた総合的・全体的な方法論で、糖質の摂取量だけに焦点を合わせているわけではありません。とりわけ「糖質のコントロール」に注意を払いたい方は、「カーボカウント」を学ぶのが効果的です。

カーボ」は糖質のことで、「カーボカウント」は食事に含まれる糖質量をグラム数で見積もり(カウントして)、食事療法に活かすやり方です(この場合の糖質量は、ほぼ炭水化物量と同じと考えて構いません)。


すなわち、 1日に摂る糖質量を計って(厳密さにこだわらず、大まかな見積もりでよい)3食+間食にバランスよく配分し、適切な食事間隔で摂るための方法論です。

目的はもちろん食後の血糖値を安定させて、血糖コントロールを良くすることにあります。外食時やスーパー・コンビニで中食を買うときなど、糖尿病に悩む方が食事の自由度を広げるためにも、カーボカウントの考え方が応用できます。


一例をあげます。上記の摂取比率に従い、たとえば1日1,600キロカロリーが指示エネルギー量の場合、1,600kcal×50%(炭水化物の摂取比率)÷4kcal≒200グラムが、1日に摂るべき炭水化物(糖質)量になります(4kcalは「エネルギー換算係数」。炭水化物の場合、1グラムあたり4kcalで換算)。

たとえば、コンビニのおにぎり1個の炭水化物量は約35~40グラムなので(製品裏面に記載されています)、1日おにぎり5個くらいかぁ、と実感を伴った計算ができますね。

厳密に考えすぎず、大まかな糖質量の計算がすぐ立つよう練習するのがポイントです。


ただし「カーボカウント」は、いわゆる「糖質制限」とはっきり違うことに注意が必要です。「カーボカウント」は食事に含まれる糖質量を計算して食後血糖のコントロールをはかる方法であり、決して糖質の「制限」を目的とするものではありません

カーボカウントの基本的な考え方・進め方については「カーボカウントの手びき」(日本糖尿病学会 編著)を参照するとよいでしょう。


次に「脂肪」ですが、肥満につながりインスリン抵抗性を引き起こしやすい「飽和脂肪酸」の摂り過ぎを控えます。

飽和脂肪酸は、バターや牛豚肉の油、乳製品やマヨネーズなどの卵製品、ポテトチップスなどに多く含まれています。


マーガリン・ファストフード・加工食品や揚げ物の油などに含まれる「トランス脂肪酸」は飽和脂肪酸よりもさらに悪く、動脈硬化の危険性を高めることが報告されています。

アメリカやヨーロッパでは使用制限が課されていますが、日本では現状において規制がかかっていません。糖尿病のみならず他の生活習慣病を予防する意味でも、トランス脂肪酸の摂取は極力控えるべきでしょう。


反面、サバやサケ、サンマやカツオなどの魚に含まれる「不飽和脂肪酸(DHAやEPAなどのn-3系脂肪酸)」は中性脂肪の低下や降圧効果をもたらし、インスリンの働きも改善するので、食事メニューには魚料理を積極的に摂りいれたいものです。


食事療法の天敵は、「アルコール」や「間食」です。アルコールなら、週に1~3回程度の「休肝日」を設けます。


アルコール自体は血糖値を上げることはないのですが、お酒に含まれる「糖質」が問題になります。

ビール系なら糖質ゼロの発泡酒を、あるいはワイン・焼酎などを適量。日本酒や果実酒は糖分が多いので、控えたいところです。


一日の摂取量については、いま治療をすでに受けている方は医師と相談して決める必要がありますが、予備軍の身としてはせいぜいビール一缶(350ml)、ワイン1杯(120ml)までにしておきましょう。

おつまみ類は枝豆やチーズ・もずくやきのこ料理など、たんぱく質や食物繊維が豊富なものをバランスよく配します。飲酒後にラーメンやざる蕎麦などの炭水化物を採っては、せっかくの努力が水の泡になるのでご注意を。


また、すべての食事には必ず野菜をつけあわせるようにしたいものです。野菜の食物繊維が、食後に血糖が急激に上がるのを抑えてくれるからです。野菜がない場合、(できれば食塩無添加の)野菜ジュースで代用するのもよいでしょう。


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とくに外食が多い方の場合、気をつけてほしいのは「腹八分目、出された量の一定割合を意識して残すようにする」ことです。外食が主体だと、どうしても栄養バランスをとるのが難しく、またカロリーオーバーにもなりやすいためです。


注文の時に「ご飯を半分に」とか「サラダにはドレッシングをかけずに」など、自分なりの注文を出すようにします。お店にちょっと言いにくい…という方は、あらかじめ事情を汲んでくれる、食事療法を守りやすいような「いきつけのお店」をいくつか確保しておくと良いでしょう。

当然ながら、高カロリーで栄養バランスが悪い単品の食事メニュー(カツ丼やファストフード類)は、避けるようにします。


食事に合わせてコーラやジュースなどソフトドリンク類が欲しくなるかもしれませんが、多量の糖分を含むだけでなく、中性脂肪を増加させ肥満につながるので、極力摂らないようにします。

最近はメニューにカロリー表示を併記しているお店も増えてきていますので、注文前にはメニューの記載カロリーをチェックするくせをつけましょう。



ちなみに、スーパーやコンビニでよく見かける加工食品ラベルに示されている「栄養成分」は、「健康増進法」という法律の「栄養表示基準制度」によっています。

使用する素材や調理の仕方などによってもカロリー量は簡単に変動するため、この基準では「±20%までの表示誤差」が認められています。


たとえば、外食時にレストランのメニュー上で「500kcal」と表示されている一品が、実際は600kcalくらいのカロリーである可能性は十分ありますし、それ自体は表示上の違反でもないわけです(そもそもカロリー表示自体、法律上義務づけられてはいません)。


利用者側で個々の食事や食品のカロリー表示の正確さをチェックする術はまず無いので、この際はじめから「食品ラベルや外食時のカロリー表示は2割増」と考えて、固めの数字で計算することを習慣づけておくほうがよいでしょう。

糖尿病 食品


1日25~30グラムの摂取が望ましい「食物繊維」を食事から自然に摂るためにも、見た目にかさが多くカロリーが少ない野菜やキノコ類・海藻・コンニャク等を、積極的に食材に取り入れたいもの。


みそ汁やスープなど水分の多いメニューもお腹をいっぱいにしやすいので、なるべく取り入れたいものです(ただし塩分の取り過ぎに注意。過度の塩分も糖尿病の大敵です)。魚などはお頭つきの方が、食べるのに手間がかかる分、早食いを避けられてよいでしょう。


サラリーマンが特に注意すべきは、一日の仕事から解放された後の「夜食とアルコール」のコントロールです。


もともと人間の身体は、「あとは寝るだけ」の夜間には、とったカロリーがそのまま体に蓄積されてしまうようにできているからです。食事にアルコールがからむと、胃液分泌も促進されて食も進み、どうしてもオーバーカロリーになりがちです。

お酒飲みの方は、「ビール中瓶1本=ご飯茶わん1杯分のカロリー」と、おぼえておきましょう。


女性でアルコールを摂らない方は「果物」の糖分に気をつける必要があります。「リンゴ1個=ご飯茶わん1杯分のカロリー」です。

果物は糖質(果糖)こそ多いものの、いわゆる低GI(グリセミック指数:食品の血糖値の上昇度合いを見る指標)食品なので、血糖値を上げることはありません。

ただし果物は満腹感を得にくいため、カロリーオーバーとならぬよう、食べ過ぎや摂るタイミングに注意が必要です。1日正味で200グラム(200kcal)程度までを、昼食後のデザートや間食として摂ると良いでしょう。またドライフルーツやシロップ漬けの缶詰は避け、生の果物を食べる必要があります。


夜が外食の場合、ルールを簡単にして「出されたものはすべて、3分の1を残す」と決めておくのも一方法です。残すことに罪悪感を感じる方は、自宅での夕食を習慣づけましょう。


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糖尿病の治療~食事が大切な本当の理由


すでに糖尿病でより細かな食事管理の必要のある方は、日本糖尿病学会が編集した「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」を、手もとに置いておくといいでしょう(第7版:令和4年5月現在の最新版)。


すでに合併症が起こっている場合も含め、発症後の食事療法は、塩分や脂質の摂取がより厳しくなるからです。

この本には「80キロカロリーに相当する食品の量」が「食品交換表」として示されているため、カロリーの計算がしやすくなっています。


ちなみに、一日に必要なエネルギーは「標準体重(身長m×身長m×22)×25~30kcal」で求められます。

身長が165㎝の場合は、1.65×1.65×22×25~30=1,500~1,800kcal/日といった具合です。


カロリー計算や献立を考えたりするのが面倒…という方は、「糖尿病食の宅配サービス」を利用するのも一法です。たまに利用してみることで、一種の気分転換にもなります。


糖尿病食


糖尿病食はそれ自体が、栄養バランスと塩分・カロリーなどが適量に計算された食事ですので、糖尿病を患っていない人にとってもヘルシーです。


家族の誰かが糖尿病である場合は、たとえ週に数回程度でも家族で同じメニューの糖尿病食をとるようにすると、患者の生活改善に向けた意識を、家族みんなで共有できることでしょう。

いざ糖尿病の宅配食を取り寄せて家族で囲んでみると、彩り豊かで量もたっぷりだったこれまでの食事と比べて、あまりの落差があることにショックを受ける方もいるでしょう。

しかし食事療法は単なる食事でなく「糖尿病の治療の一環であること」を、始めの段階できちんと体験しておくことには、大きな意味があります。


「この食品・食事は、一人前のカロリーが大体これくらい」という事を自分で直感的にわかるようになっておくと、外食のときも一日の摂取エネルギーのコントロールもしやすいでしょう。

最初はたいへんであっても、自分自身でカロリー計算を行うくせを身につけておくと、主なメニューのカロリー数は知らず知らずのうちにおぼえていくものです。


さらに言うなら、細かな計算に神経質になりすぎて自分をがんじがらめに縛ってしまうと、疲れて食事療法が続かなくなるおそれもあります。

食事療法も含め、糖尿病の治療を途中で止めてしまう方が少なくない現状を、忘れてはなりません。食事療法では続けることが、何よりも大切なのです。

時には自分なりに肩の力を抜く方法を見つけて、食事を楽しむための前向きな心を失わないようにしたいものです。


現在治療中の方は、発熱などで体調がすぐれず、何日も食事をとる気が起きないときもあると思います。

このような場合、だからといって何もとらずにいると、水分不足で血糖値が上昇し意識がもうろうとする「糖尿病昏睡」を起こすときがあるので、注意が必要です。

食欲のない時は脱水症状を起こさぬよう、適量のおかゆなどを摂りましょう。


また食事をとらないことが何日も続いた場合、処方された糖尿病の治療薬をいつもどおり飲み続けていると、低血糖を起こす可能性があるため、薬の服用量の調節が必要になる場合があります。


糖尿病の薬には、薬の効果を引き出すため「食事の直前」など服用タイミングがはっきり決められているものがあります。

このように投薬治療中でありながら、日々の食事の量や回数が大きく変わるようなときは、担当医に相談のうえ対処するようにしましょう。

低血糖糖尿病の薬物療法については、関連サイト「糖尿病の薬とその種類 基本が知りたい」をご参照ください。)



先に述べた通り、糖尿病は何らかのかたちで生涯つきあわなくてはならない病気ということは、よく肝に命じておく必要があります。目に見えるかたちでの「治療の終了」が無い、数十年に及ぶ長期戦なのです。


糖尿病の治療に投薬が必要なことも確かですが、薬で血糖値を下げるのは、いわば「薬の作用で人為的に、インスリンの分泌をコントロールしている状態」になります。

よって食生活を改めず薬だけに頼っていると、余分に食べている分だけ、膵臓がインスリンを余分に分泌する状態を温存したまま、月日が経っていきます。


膵臓が本来持つインスリンの分泌メカニズムを軽んじ、薬の力だけで膵臓にインスリン分泌を強制する状態を長い間続けると、たとえ血糖値を範囲内に保てるにせよ、十数年後には膵臓はほとほと疲れ切ってしまうことでしょう。

そうなると薬によってはその効きが悪くなるだけでなく、動脈硬化ひいては他の生活習慣病を招くリスクも高まります。


食事によって体重を適正にコントロールすることで、「膵臓がもともと持っているインスリンの分泌機能」を充分活用できる状態を保つことが、糖尿病の治療には必須なのです。

すなわち「適切な食事療法こそが、(投薬を含めた)糖尿病の治療効果を大きく高める」のです。


糖尿病の食事療法を末長く続けるための具体的なコツや方法をさらに身につけたい方は、姉妹サイト「糖尿病の食事 効果的に続ける方法」も、あわせてご参照ください。


糖尿病食


糖尿病に関する参考サイト


糖尿病と運動 実行のポイントとコツ
高血圧に負けない食事~食事療法のツボと効く食材
脳梗塞の前兆と症状~予防・治療の概要を知る
脳梗塞と食事~予防・改善に向けた食事療法
脂肪肝の症状と治療 食事療法と運動
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